ご挨拶 greeting

令和4年4月1日より、熊本大学大学院麻酔科学講座教授を拝命いたしました平田 直之と申します。私は、長崎県佐世保市生まれ、2000年に熊本大学医学部を卒業し、その後22年間、北海道で麻酔科医療の診療・研究・教育に携わってまいりました。このたび、母校の教授を拝命したことを感慨深く感じ、熊本大学および熊本県の麻酔科医療の発展のために、気概を持って誠心誠意努力する所存です。
熊本大学麻酔科は、1965年に初代 森岡 亨教授のもと発足し、50年以上の歴史を有しております。森岡教授、第二代・寺崎 秀則教授は、現在のCOVID診療でも注目を集めているECMO(体外式膜型人工肺)研究の第一人者であり、呼吸不全患者への応用を世界に先駆けて行われました。第三代・山本 達郎教授は、痛みに関する診療と研究を中心としたペインクリニック領域において、日本の麻酔科医療を牽引して来られました。このような熊本大学麻酔科の歴史と伝統を受け継ぎつつ、100名を超える教室員と同門の先生方のご協力・ご指導を頂きながら、教室のさらなる発展を目指して第四代教授として日々精進して参ります。
麻酔科診療は、手術に臨む患者さんの苦痛を軽減し、術前・術中・術後の安全を保つ全身管理を診療の基本としております。麻酔科診療の応用として、様々な急性臓器障害を生じた患者さんに対して集学的治療を行う集中治療医学、慢性疼痛・がん性疼痛など痛みをお持ちの患者さんに対するペインクリニック・緩和医療を担っております。手術麻酔、集中治療医学、ペインクリニック・緩和医療を柱とした安全で質の高い麻酔科医療を通じて、社会に貢献することが麻酔科医の使命であると考えております。一方、大学病院に限らず、多くの急性期病院では手術件数は増加の一途をたどっており、相対的な麻酔科医不足が全国的な問題となっております。麻酔を含めた急性期医療を担う人材育成、麻酔科医自身が使命感と誇りを持って職務にあたることのできる環境構築にも務めて参ります。今後とも当教室と教室員をよろしくお願い申し上げます。

麻酔科学講座教授 平田 直之

麻酔科学講座教授平田 直之